ナナツハナ中篇感想③

 

 

まだ続く。どれだけ酷いヤツでも、私はさっちゃん派だ、という話です。

 

・「俺やさしいから」「俺強いから」杷がたびたび使うこの言い回しはハッタリかましてイメージ操作するのと同時に自己暗示みたいなものなのかもしれないな。前篇で96の言葉に「何も知らないくせに」ってカッとなったりして、脆い部分もあるみたいだし

・「つぎは一緒に目覚まそうよ。おれ、何度でもお前のこと口説くから。蛍のこと、好きにさせてやるから。林檎と、三人で、楽しく革命しようよ、リーダー」械こそ雷の希望の光……械も林檎も杷もきっとみんな空のことを想ってそばにいて、救いたいと考えていたのに、そんな蛍たちを利用する杷はとても非情だと思った、けど、械の不意打ちに我を失ったり、「たまたま使えそうだったのがふたりだっただけ」と吐き捨てるあたり、揺らぎがあるのかなぁとも思う。

・・「空は売れない画家、でも絵を描くのが大好き、蛍と契約して、もっといろんな景色を見て、色を知って、それをここに描き出せると信じていた。俺も空の真似をして、絵を描くようになって、けれど、周りに評価されたのは俺の絵だけ」「俺には、まだ、描きたい空があって、この色は、空が俺にくれたものだから」順接で繋がっていく杷の語りのリズムがとても好き

・「夜が、明ける」とか「話はそれから、ゆっくり聞くよ」とか、いちいちかっこいいんだよな、めちゃくちゃいい台詞回しするんだよな、おいしいとこ持ってくんだよなさっちゃん!!!!好き!!!!!

・雷での食事シーン、挨拶のくだりで押し黙っていたとき、「俺が、……契約していた人間の名前」の沈黙のあいだ、杷はどんな顔をしていたのかすごく気になる。耳で聴いて楽しむコンテンツだとはわかっているのだけど、動く杷が観たいです…!!